例年になく雨が多い沖縄ながら、日本一に向けたドラゴンズの練習は順調に進展。6日に第1クールを終了した。この6日間で目立った“新戦力”はいるのか。本紙評論家の木俣達彦、小松辰雄両氏がチェック。木俣さんは新外国人のトマス・デラロサ内野手(30)、小松さんは故障から復活を目指すチェン投手(22)の名を挙げた。
<チェン>球の出どころ見にくい…小松辰雄
これは面白い!! ブルペンで左腕・チェンのピッチングに、胸の高ぶりを覚えた。
まずもって投球フォームに特徴がある。テークバックから左手を上げてくるまで、左手が体に隠れてしまう。相手打者、特に左打者にとってはボールの出どころがすごく見にくいのだ。右打者もボールの出どころが見えるのは少しだけ。投球フォームからして非常に楽しみだ。
こうした投げ方は天性のもの。教えられて投げられるものではない。自分の大きなセールスポイントとして、ひとつの武器にすべき。ソフトバンクの和田もチェンに似て打ちづらそうな投球だが、チェンは和田を上回るストレートの速さもある。これも魅力を大きくさせる。
投げ方でいうなら、もっと下半身が使えるようにすれば、さらに直球の威力が増すはず。入団した時から、下半身の使い方が気になっていた。今季から先発ローテーションに入って活躍したいなら、もっと走り込んで下半身を強化すべきだ。
それにはただ走るだけではなく、投げ込むことも必要になる。この日も一番遅くブルペンに入って、みんなより先に投球練習を終えた。まだまだ投げ込みの量は足りない。下半身を使ったピッチングができるのは、200球ぐらい投げ込んでから。一昨年の左ひじ手術からのリハビリも順調。昨年はウエートトレーニングをしっかりやって故障しない体づくりもできたのだから、今キャンプでは思い切り投げ込みを行ってほしい。山本昌、小笠原に続く左腕第3の先発投手候補。チェンが計算できれば、左右バランスの取れた先発スタッフができあがる。
(本紙評論家 中日スポーツ)
<デラロサ>外角低めのさばきうまい…木俣達彦
5日の練習中、めったにお目にかからないシーンを目撃した。新外国人選手として入団が決まったデラロサが、三塁ベンチ前に設営されているマシン打撃用の鳥かごで、ひたすらバント練習を繰り返しているのだ。
驚きはさらに続いた。終了間際、今度はバスターの練習。外国人選手がバントばかり練習する姿は、長くキャンプを見てきたが、記憶にない。
他の選手はフリーに打っているから、デラロサだけに「バント指令」が出ているとは思えない。デラロサには早く日本の野球に溶け込もうとする気概が感じられた。
肩が強く、フットワークも軽快。守備力を高く評価する人は多いが、私はバッティングに高評価を与えたい。それは、外角低めのさばき方がうまいことが挙げられる。センター方向に強い打球を飛ばせる。広角に打てるのも、打率を上げる大きな要素である。
北京五輪が開催される8月。荒木、井端が日本代表に招集されて、2人とも欠ける可能性は高い。“アライバ”不在期間中の13試合をどうカバーするかも、今季の中日には重点課題。その中で、日本の環境に慣れようと必死に取り組んでいるデラロサの存在は大きくクローズアップされる。
今まで通り、常にハングリー精神を持っていけば、楽しみな戦力となりそうだ。
(本紙評論家 中日スポーツ)
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