<巨人2-4中日>◇20日◇東京ドーム
落合中日が、原巨人に3連勝で2年連続日本シリーズ進出を決めた。クライマックスシリーズ(CS)第2ステージ。レギュラーシーズンは2位に終わり、丸刈りにして出直した落合博満監督(53)が見事な采配をみせ、巨人につけいるすきを与えなかった。中日はCS負けなしの5連勝だ。27日に開幕する日本シリーズは昨年に続き、パ・リーグ覇者日本ハムとの戦いになる。昨年は敗れたが、今年こそ1954年以来、53年ぶりの日本一を取りに行く。
優勝なき日本シリーズ進出に胴上げはなかった。ビールかけも、記者会見もなかった。落合監督は帽子を取るとファンに深々と頭を下げた。V逸が決まった翌日、断髪した丸刈り頭はまだ伸びきっていない。みそぎとリベンジの意味を込めて3000円の「五分刈り」を注文したあの日からわずか17日後、敵地で王者巨人に借りを返した。
「ペナントレースに負けてから我々にはチャンスはここしかなかった。本当は優勝して迎えたかったですが、その悔しさの分だけ勝てたのだと思います」。目が潤み、選手をたたえる声が震えた。
王手をかけて迎えた第3戦、これまで同様、落合監督は動いた。3-2とリードした4回、顔面付近の投球に怒りを見せた巨人李にウッズが挑みかかろうとするとベンチを飛び出した。乱闘寸前の雰囲気の中、険しい表情で相手をベンチに下がらせると、ウッズのところへ行って「落ち着け」となだめた。帰り際には谷繁に「熱くなるな」と耳打ち。ベンチを何度も出た。
3位阪神を2連勝でけ散らし、王者巨人を3連勝で粉砕した。初体験の超短期決戦。落合監督はスタイルを切り替えた。「阪神、巨人とだと今の戦力では分が悪い。長引かせたくなかった。きょう勝つことだけを考えた」。ペナントレースでは開幕前に最終戦までシミュレーションするほど慎重な指揮官が目の前の戦いに没頭した。
1950年に始まった日本シリーズはこれまでセとパのリーグ優勝チームが戦ってきた。今季からCSが導入されたため、初めてリーグ優勝チーム以外が出場することになった。歴史が変わった。
昨年、セ・リーグ初のプレーオフ導入案が持ち上がった時に真っ先に異を唱えたのが落合監督だ。「140試合以上戦ってきたものを、たったの何試合かでひっくり返すのか!」。この声がきっかけとなりCSはあくまで日本シリーズ進出を決めるものと決まった。
その一方で導入が決まった後はこう誓った。「オレは決まったことには従う。やるからには勝たないといけない。勝負事は勝たなきゃな!」。我が道を行くオレ流だが、ルールには従う。わずかの差で連覇を逃すとすぐに目標を切り替えた。
「あくまでセ・リーグ優勝チームはジャイアンツ。我々はセ・リーグ代表としてファイターズと戦いたい」。史上初のCS制覇もあくまで通過点だ。日本ハムに昨年のリベンジを果たし、球団史上53年ぶりの日本一を達成した時、初めて歓喜が訪れる。
(元記事::日刊スポーツ)
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