中日の岩瀬仁紀投手(33)、川上憲伸投手(32)が13日、そろって北谷球場で今キャンプ初のフリー打撃に登板した。ともにMAX135キロで好調な仕上がりをアピール。守護神・岩瀬は年に1度の“定期戦”を終えた井端から「若返り」の太鼓判を押された。
1年に1度の“定期戦”の相手だからこそ、感じる変化がある。岩瀬VS井端。クローザーがフリー打撃に初登板するときの打者は、必ず井端が務める。
「きょうも最初からイバに投げるって決まっていましたよ。『やっぱ、2人でやらなきゃダメでしょ』みたいな…」。北谷の恒例行事。今年は24球投げ、安打性の打球は5本。岩瀬の完勝かと思いきや、ラスト1球の「真剣勝負」は右中間にはじき返された。
「ホントはその前のファウルだったのに、打ち直ししたんですよ。ずるい! でも、イバが調子を上げてくれるんだったらいいですけどね」
岩瀬の表情は明るかった。MAX135キロ。「スピードはどうでもいい? そんなことない。出るに越したことはないですよ。この時期に135ならヨシヨシって感じです」。納得のキャンプライフを過ごしている。それを裏付ける証言が、井端から飛び出した。
「球の動きが昔に戻っていました。若いころみたいに荒々しく変化していたんですよ。今年は調子いいんだと分かりました」
岩瀬の代名詞はスライダーであり、シュートだが、実は打者にとって最も厄介なのは動くストレートなのだ。いわゆる真っスラ。左打者からは逃げ、右打者には食い込む。そのムービングが若さを取り戻したのだという。ここ数年、必ず沖縄で対戦してきた井端ならではの実感は、本人も自覚していた。
「戻したというより、戻った感じですね。球持ちが(近年になく)いいんで。スピードもそうですけど、球があれだけ動いてくれるのは自分でもいい感じです」
前人未到の10年連続50試合登板に挑む守護神は“勤続疲労”どころか若返っている。盤石のクローザー。今季も竜の『9回』に死角はない。 (渋谷真)
◆憲伸負けてない、同じくMAX135キロ
エースの視界は良好だ。谷繁を相手に47球。開幕候補の大本命は、セ界3球団のスコアラー陣にため息をつかせた。
「きょうは(自分の球に対する)打者の差し込まれ具合と、テークバックを(打者から)見やすくしないようにということを考えて投げました。満足? そこまで抑えているっていう気はしないですけどね」
最速135キロは岩瀬と“ドロー”。ただ、ステップは確実かつ順調に踏んでいるようだ。昨年は腰の張りに苦しみ、開幕に間に合わせるのがやっとだった。そんな舞台裏の格闘は、この2月は全く無縁。体調のよさが、そのまま調整進度につながっている。
「順調そのものですね」と巨人、広島、横浜のスコアラーは口をそろえた。朝倉、中田も好調。1本でも強い矢が、3本の束となる。 (渋谷真)
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