試合前のシートノックが終わると、ベンチ前で野手が円陣を組む。その中心でげきを飛ばす役目は、交代制をとっている。そこは勝負師の集団。勝てば続け、負ければ代わる。20日の阪神との大一番から23日までは、井上が3連投していた。いかにも“演説上手”。たとえば23日は、こう言ったそうだ。
「パ・リーグも終わったぜ。こっちに注目が集まる。ドラゴンズファンのためにがんばろう。チームのためにがんばろう。そして、自分のためにがんばろう!」
短く、簡潔に、何よりも熱く。円陣で士気を鼓舞する三大要素である。言霊という言葉があるように、ときに人間を突き動かす力を与えてくれる。ちなみに、この日は和田が務めた。“後任者”はその場の雰囲気で決まるそうだが、やはり大舞台はベテランがしっくりくる。 (渋谷真)
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