大学生・社会人選手を対象にしたプロ野球の新人選択会議(ドラフト会議)が19日、東京都内で開かれ、中日は1巡目で名城大・山内壮馬投手(22)、3巡目(2番目)で日立製作所・谷哲也遊撃手(22)の2選手の交渉権を獲得した。中日も入札した注目の愛工大・長谷部康平投手(22)は5球団競合の末、楽天が引き当てた。
目が潤む。ほおが真っ赤に染まっていく。“満願成就”の瞬間、山内壮は胸にこみ上げる感情を抑えられなかった。「山内は感激のあまり動揺しているので、しばらくお待ちください」。学校関係者の言葉で、晴れ舞台となる会見は一時お預け。その間、別室で必死に呼吸を整えた。
「涙もろいんです。でもうれし涙は初めてかも。一番行きたかった球団に一番で入れてうれしい。昨日は神頼みまでしましたし、最高です」
生まれながらの熱血ドラゴンズ党。祖父母も、両親も、代々のドラゴンズファンという一家で育った山内壮は、物心がつく前からナゴヤ球場のスタンドにいた。小学生で本格的に野球を始めた理由も「中日のエースになりたいから」。いつもドラゴンズのユニホームを着てマウンドに立つ自分を思い描いた。まさに初志貫徹で夢を実現させたのだ。
「自信があるのはスライダーです。強気に攻める投球 が、自分のいいところだと思います」
武器は最速147キロの速球と多彩な変化球。中原スカウトが「気持ちで打者に向かっていくタイプ。ずっと憲伸とダブらせてきた」と評価する将来のエース候補だ。名城大・大坪監督は「変化球はいいが、もっと速球に磨きをかけないと。そこを伸ばせばプロで通用するはず」と指摘。大学入学後に、それまで常時130キロ台だった速球が140キロ台に上昇しているだけに、まだ伸びしろの多い未完の大器であることは間違いない。
愛知・杜若高時代は同級生としてエースを争い、現在も親友である長谷部(愛工大)は、競合の末、楽天と交渉することが決まった。プロで再び同じユニホームを着る夢はかなわず「複雑です」と話す一方で、すでに新しく大きな夢ができた。
「将来、長谷部と日本シリーズで投げ合いたいですね。今まで切磋琢磨(せっさたくま)してきたんだから、プロの一番高いところで戦いたい」
日本シリーズでのエース対決を、2人の再戦の舞台に熱望だ。
(中日スポーツ)
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