中日の荒木雅博内野手(30)が27日、名古屋市中区の球団事務所で契約交渉に臨み、500万円減の1億3500万円プラス出来高で更改した。一発サインはしたものの、よもやの減俸に盗塁王はがくぜん。来季中にも取得する、フリーエージェント(FA)権の行使も示唆した。
12年連続の一発更改も、顔は紅潮したまま会見場に現れた。
「自分としても納得していない1年ではありますが、それでもちょっと(ダウン幅が)いき過ぎじゃないかなと。盗塁? やはりホームランか打点じゃないと軽くみられるのかもしれません」
1時間を超える交渉の中、1000万円減が500万円に緩和はされた。盗塁王を待っていたのは、8年ぶり2度目のダウン。「怒りのサインとは書かないで!」と語った荒木だが、あと6日で取得できるFA権にまで話題は及んだ。
「権利を取るまでは保留することなく一発でと思ってきました。今までやってきた証し。言いたい言葉じゃないけど、言いたくなりました。有効にできればと思います」
来オフの行使まで示唆。竜一筋を自らも信じてきた男が、ここまでぐらついてしまった。もちろん2度の戦線離脱、2割6分3厘という低い打率も承知している。だから「久々にグッときた」のを「ここでグッとこらえるのも男」と署名した。秘めたる怒り。とはいえ、球団側にも厳正に査定した自負がある。
「ホームランと盗塁を比べれば、ホームランが上です。確実に1点入るし、打点もありますから。でも、走るのは大変な作業。走れる期間も短い。意欲をもってもらわないと困るから、過大評価じゃないといけないくらいでいます」
交渉役の井手編成担当が、焦点となった盗塁の位置付けを説明した。十分に評価しているとする球団側と、足りないと思う荒木。表面上は妥結したが、来季に流し切れなかったものがあるのは間違いない。
「まず来年、しっかりとやること。その自信はあります。成績を残して評価が同じだったら、考えないといけません。『権利を取ったらそれなりのことをさせてもらいます』と、球団には話しました」
まずはこの怒りが来季の原動力となることを見守るしかない。 (渋谷真)
(中日スポーツ)
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