中日の井端弘和内野手(32)が26日、名古屋市中区の球団事務所で契約更改交渉に臨み、4000万円アップの年俸2億6000万円の提示を保留した。4年連続の全試合出場が認められての大幅アップにも「3億円が欲しいんです!」と直訴。落合竜が誇る不動の遊撃手が、プライドを懸けた“銭闘”を開始した。
あの手この手の駆け引きなし。交渉戦略はシンプルで分かりやすい“正攻法”だった。球団査定にも、提示額にも、決して不満があるわけではない。ただ、自分がナンバーワンという自負があるからこそ、もう一声! 井端が包み隠さず本音をぶつけた。
「(判を押そうか)途中で迷いました…。プロ10年間で今年が一番、評価してもらいましたから。でも、自分では12球団一のショートだと思っているので、そのプライドが押さなかった。球団には“3億円欲しいんですが”と言いました」
球団の提示は4000万円増の年俸2億6000万円。今季はチームトップの打率2割9分6厘で打線をけん引した上に、守備でも鉄壁布陣の要として活躍。4年連続の全試合出場を果たしたことも大きく評価された。
この時点で、セ・リーグの遊撃手の年俸史上トップだが、ここで簡単にサインすることを、野球人としてのプライドが許さなかった。野球と一緒で、交渉もどん欲に-。この日の交渉は「1回目の話し合い」と位置づけて、あえて保留した。
「過去を含め、ぼくはセ・リーグのショートで一番もらいたい。というより、セ・リーグでは誰も達成してない3億円です。ただ、それは来年に取っておくとして、せめて今年はその一歩手前までと思っています」
交渉中、さすがに3億円突破は無理と判断。そこで、今オフの照準は2億7、8000万円までの上積みに切り替えた。その際の争点は『全試合出場の価値』。今後について、井手編成担当は「全試合に出ることの価値観が井端とわれわれでは少し違った。井端は全試合出場を誇りにしているから“そこをもっと評価してほしい”と。評価しているつもりだけど、また社長を含めて話し合います」と井端の意をくんで提示額を見直す可能性を示した。
だから、井端には怒りや落胆、悲壮感もない。越年決定も、淡い期待を抱きながら、来月中旬以降に予定される次回交渉の席に着く。
(安藤友美)
【遊撃手の最高年俸】 これまでの日本プロ野球遊撃手の最高年俸は、松井稼頭央(32)=米大アストロズ=の03年西武在籍時の3億5000万円。前年の02年に最多安打のタイトルやベストナイン、ゴールデングラブ賞などを獲得するなど活躍し、2億5500万円から約1億円アップを勝ち取った。
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