2008年6月14日 紙面から
中日は13日、福岡からオリックス戦に備え大阪に移動後、甲子園で練習を行った。投手陣中心で主力野手は免除だったが「日なたぼっこ」ながら落合博満監督(54)も参加。45日勝利から遠ざかっている中田再生への思いを熱く語った。先発予定は15日。オリックスを封じ込め、指揮官の“親心”に報いられるか-。
中田のことになると、指揮官は雄弁になる。
「もったいないと思うのは、清原(オリックス)だな。あいつには(ルーキーのときに)『5年は一生懸命やれよ』って言ったんだ。誰かがよけいなこと吹き込んだのかな…。2年目に『あ、こいつ崩れたな』と思ったんだ。普通にやれば、もっと打っている。同じようにもったいないなって思うのが中田だ」
甲子園のフェンスにもたれながら、記者との談笑時間をもった。博多からの陸路移動後、甲子園での練習に顔を見せた落合監督。「日なたぼっこに来たんだよ。屋根ついてる球場ばかりだから、たまには頭に栄養を与えなきゃな」。実際、室内練習場での打撃は見ずじまい。だが、視線の先では緑の芝生の上を投手陣が走っていた。その中にいた背番号20。逆転Vのためにも、次代の中日のためにも欠かせない男である。
「普通にやっておけばこれくらいは勝てるっていうのを(あえて本人が)変えようとした。一番自分のいいところを変えたんだ。年々覚えていくべきところを…。それはいいんだ。あいつの野球人生なんだから。(打たれても)オレが集中砲火を浴びれば済むことだ」
球界屈指の“暴球”から、悪い部分をカットしようとしたのが今季の中田。だが、そこに至るには順序があるというのが落合監督の分析だ。「CHANGE」に挑んだがゆえのあり地獄。もがけばもがくほど、地中にのみ込まれている。
「崩すのは簡単だよ。打者なら1球あれば事足りる。でも、元に戻すのは大変だ。今年中はかかるかもしれない」
壊す作業と築く作業。その差は大きい。だが、中田の挑戦にも理解があるからこそ、落合監督は待っている。たとえば前回登板の楽天戦(8日)。同点の9回に続投させ、自らの失策をきっかけに中田は散った。
「あの試合に勝とうと思えば簡単だった。9回につなげばいいんだ。岩瀬で1回、チェンと吉見で3回…。でも、それであの子(中田)に何が残る? 負ければ悔しいし、勝てば一歩進む。チームにも将来があるし、彼にも将来があるんだ。ま、気長に待ちましょ」
落合監督は中田を次のエースだと見込んでいる。グラウンドに立てば平等だが、そこまでは不平等も“あり”の世界。中田再生への苦しみは、チーム全体で受け止めねばならないのだろう。 (渋谷真)
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