<中日5-3阪神>◇14日◇ナゴヤドーム
中日が阪神に2連勝し、セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)第1ステージ(S)を突破した。1回に中村紀の適時打、李炳圭の3ランで5点を挙げ、第1戦に続く先制パンチで勝利をものにした。リーグ優勝を逃し、頭を丸刈りにして出直した落合監督の思いが選手にも伝わった。18日から始まる第2S(5試合制、東京ドーム)で、初の2年連続日本シリーズ出場と雪辱をかけてリーグ覇者の巨人と対戦する。
開始わずか30分の速攻だった。初回1死から井端の四球、森野の右前打、ウッズの四球で満塁。打席には中村紀が立った。上園の真ん中高めの直球をたたいた。三遊間を抜ける2点適時打。バットを放り投げると一塁上で右拳を振り上げ、川相一塁コーチとハイタッチした。超満員のスタンドの盛り上がりが途切れる間もなく、続く李が真ん中低めのフォークを右翼に豪快な3ラン。初回に3点を奪った13日に続く鮮やかな先制劇。「JFK」を擁する阪神の機先を制して大量5点を奪った。
中村紀は「今年一番緊張した。あそこで打てないと流れが変わる。持っているものを出した」とホッとしたように言った。腰痛のためにレギュラーシーズン終了からの5日間で2度痛み止めの注射を打ち、薬を服用して試合に臨んでいた。日常生活でもトイレで用を足す際に「腰に力が入らないので出ない」とまで言う。だが、照準を合わせたCS2試合で8打数5安打2打点の大当たり。05年の韓国リーグ首位打者の李は、来日1年目で変化球に苦戦しただけに大興奮。「今年一番大事な試合で、いいところで打てて気分がいい。思い出に残るホームランだ」と一気に話した。
荒木、井端に5番から3番に上げた森野の上位3人も見事に機能した。落合監督は「森野の3番? 144試合とは違うんだ。そこが戦い方の違いだ」と説明。その上で「この2日間はゲームの入り方が違った。シーズンより良かった。去年の悔しさがあったんじゃないか」。ナインの違いを感じ取っていた。選手には、リーグ優勝を逃し、今月3日にロッテの2軍時代以来28年ぶりに頭を丸刈りにした落合監督の決意も短髪の中村紀、李らに伝わっていた。
52年ぶりの頂点を目指した昨年の日本シリーズ。白星発進後の4連敗で日本ハムに敗れた。04年に続く敗退に「短期決戦が苦手」というイメージもついた。だが、1年を経て、ここ一番で集中力を発揮した。「うまいこと照準を合わせてやってくれた。4年間で3回も短期決戦をやっている。そろそろ覚えないと」と満足そうに話した。
守護神藤川に投げる機会を与えずに阪神を退け、18日からは巨人との第2Sを迎える。15日は休んで英気を養い、16日から練習を再開してペナントレースで敗れた雪辱を期す。落合監督は「高校野球なら負ければ終わり。選手もそれぐらいの気概でやっている。(日本シリーズへ)突き進みたい」と宣言した。中村紀は「何とか日本一になりましょう」とお立ち台で叫んだ。球団初のリーグ連覇を阻まれた借りを返せば“三度目の正直”が見えてくる。
(元記事::日刊スポーツ)
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