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18 . September
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28 . June
2008年6月28日(土) 9時44分 日刊スポーツ

<横浜1-2中日>◇27日◇横浜
 試合を動かすひと振りだった。中日立浪が会心の1号ソロでチームに今季初の6連勝を導いた。0-0の8回、好投の先発川上の代打として打席に立った。横浜先発小林のカウント1-2からの直球を思い切りたたいた。打球は右翼席に飛び込んだ。「うれしい。あれだけ打てなければやっぱりうれしいでしょ。憲伸が頑張っていたので何とか点を取ってやりたかった」。昨年8月28日に初の1号代打満塁本塁打を放った横浜で今年も1号が出た。入団から21年連続のアーチは0-0の均衡を破るV打となった。
 落合監督は、8回無死走者なしで迷うことなく立浪を起用した。「あそこは先頭打者だろ。クリーンアップがいるんだからおぜん立てしないとな。いいじゃねえか。役者がいなくて勝っているんだから」。井端、森野ら故障者続出の中で勝負どころを逃さなかった。
 立浪にとって重い3カ月だった。打席に入った際、バックスクリーンに映った打率は「065」。打撃コーチ兼任となった今季も代打の切り札に変わりはないが、31打数でわずか2安打だった。
 そんな立浪が今季途中から早出のロングティー打撃を日課にした。トスされたボールを外野へ打つ。勢いのない球を飛ばすには力と技術がいる。ぐんぐん伸びていく打球に若手野手は「きれいですねえ」とため息をついた。まだやれる。トンネルの出口が見えた。
 これで阪神と6ゲーム差。「正直、僕にとっては今日が開幕みたいなもの。迷惑かけた分、何とか阪神を追い上げたい」。立浪の復活弾でチームは完全に追撃モードだ。【鈴木忠平】
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09 . May
4月29日8時0分配信 産経新聞


 1試合にあるか、ないかの出番を待つ“代打稼業”。勝敗の行方を決める試合終盤の好機に使われる選手は、文字通りの「切り札」だ。セ・リーグ開幕から28日で1カ月。いま、巨人を除くセ・リーグ5球団は、かつて主力打者だったチームの生え抜きがこの役割を担う。阪神・桧山、中日・立浪、ヤクルト・真中…。「引退」の2文字と隣り合わせのベテランの背中は、若い選手に勝負の厳しさを語りかける。(田中充)

 甲子園で「代打・桧山」がコールされると、スタンドから大きな声援が沸く。“暗黒時代”からタテジマ一筋17年目の38歳。野球協約に定められた減額制限(25%)を超える2500万円減の年俸4000万円で迎えた今季は、後がないが、練習では大粒の汗を流してバットを振り込んでいる。

 背中で見せられる選手になる-。いま、桧山はそう誓っている。「どんな一流打者でも10回に7回は失敗する。大事なのは、失敗を次にどうつなげるか。そのために、何をしなければいけないかを見せたい」

 試合前の打撃練習では試合よりも投手に近い位置に立つ。体感速度が増した状態で打つのは1打席で結果を出すためだ。かつて「代打の神様」と呼ばれた八木裕氏の方法をまねたもの。代打でも腐ることなく、球団の代打本塁打記録(13本)を達成した先輩の背中から、自らも学んだ。

 桧山がレギュラーを外れたのは2006年。だが、代打3年目を迎えても気持ちは切れない。試合中は試合の流れを読み、出番に備えて素振りを繰り返す。開幕から1カ月が経過したが、打率は4割。高い集中力で若手の手本になり、好調なチームの支えになっている。

 他球団を見渡しても、セ・リーグの代打陣は「チームの顔」だった選手が多い。シュアな打撃で名球会入りしている中日・立浪、チームの黄金期に3割を2度マークしたヤクルト・真中、1995年から3年連続盗塁王に輝いた広島・緒方、97年から2年連続首位打者の横浜・鈴木尚…。

 95年の打点王で、引退前は代打で活躍した元ロッテの初芝清氏(サンケイスポーツ評論家)は「第一線にいた選手は代打に甘んじるつもりがない。その気持ちが練習に出るから、レギュラーも手が抜けないんです」と話す。2005年には、チーム31年ぶりの日本一にも貢献した初芝氏。「ベテランの『どんな形でも貢献しよう』という姿勢は、チームを一つにするんです」と断言した。

 その気持ちを支えるものこそが、本拠地での大歓声。高卒1年目から見守ってくれるファンの後押しに、立浪は「ありがたくて涙が出そうになる」と目頭を熱くしたことがある。熱い声援と若い選手の視線を背中に受けた名選手は、野球人生の集大成をひと振りで表現している。

                   ◇

 ■セ・リーグの生え抜きの代打陣

 球団名    選手名  齢  今季の成績

 阪 神  桧山進次郎 38 10打数4安打2打点

 中 日  立浪 和義 38 15打数無安打1打点

 ヤクルト 真中 満  37 12打数1安打0打点

 広 島  緒方 孝市 39 16打数5安打1打点

 横 浜  鈴木 尚  36 16打数4安打0打点
05 . March
 その姿にどよめき、アナウンスを聞いて大歓声で出迎え、結果を見て場内が揺れる。この日のナゴヤドームの観衆は1万4428人。公式戦より少なくても「立浪の時間」は昨年と同じだった。今春オープン戦の初出場は代打。そして、見事にタイムリー打を放った。

 「レギュラーなら調整段階だけど、いまはそうも言っていられない。とにかく集中していたよ」

 その出番は2点差を追った7回2死二塁。左腕・三井にカウント2-1と追い込まれたが、相手の“誘い球”には我慢して手を出さずにフルカウントとした。そして6球目、129キロのカットボールを左中間にはじき返した。オープン戦初出場初安打は「兼任コーチ」として若手のお手本になる初安打でもあった。

 「結果が出るとうれしい。出してもらった打席は全部ヒットを打つつもりでやるよ」

 オープン戦前、落合監督に「1日1打席ください」とお願いした。試合を読み、準備する。オープン戦といえども代打として試合に臨んでいる。技術面、精神面、ともに文句なし。いま開幕してもいいくらい、今年の立浪は充実している。
04 . January
 プロ21年目を迎えた中日の立浪和義内野手(38)が3日、“ミスター超え”を誓った。愛知県の豊橋総合動植物公園『のんほいパーク』で一日園長を務め、豊橋市内のホテルで行われた東三河後援会の『日本一祝勝会』に出席するなどイベントに引っ張りだこながら「もう体はできている」と断言。ミスター・ドラゴンズは既に戦闘モード。あと27本と迫っている長嶋茂雄の通算2471安打超えを今季の目標に定めた。

 神様・川上、三冠王・落合…。次から次へと歴代大物打者を抜き去ってきた男が、年明けとともに新たな背中を視野にとらえた。すぐ目の前には土井正博、そして、その先には長嶋茂雄がいる。日本プロ野球を代表する偉大な打者たちに、立浪が肩を並べ、一気に前へ出る。

 「今年は昨年同様に代打でのスタートになると思う。いい場面で使ってもらって、ファンに応援されて、チームには“何とかしてくれる”と思われる1年にしたい。長嶋さん? 自分で数字を気にしたことはないけど、プロに入って1本1本積み重ねてきた結果。頭に入れてがんばりたいですね」

 プロ20年目の昨季は主に代打の切り札として働き、30安打をマーク。通算安打を歴代9位の2444本とした。同8位の土井正博(2452本)、さらに同7位の長嶋茂雄(2471本)は今季の射程圏内。昨年と同等の活躍さえできれば、十分に届くのだ。

 「誰だって1本でも多く、1点でも多く挙げたいという気持ちはあるでしょう。それがチームのためにもなるわけだから」

 立浪本人に最初から記録の意識があったわけではない。「いつも(マスコミに)聞かされてから知る。周りも騒ぎ出すし」と笑う。1つの記録が近づくと、ファンが、周囲が自然と応援する。レギュラーから代打となった昨年は、声援されることによって生まれるパワーの強さをあらためて知ったからこそ「2500本も達成したい」と今は堂々と目標にできるのだ。

「衰えないよう、オフはずっと体を動かしている。去年は足のことばかり気にしていたし…」

 昨年は足の不安を抱えていたこともあり、今オフ中も下半身を強化中。イベントなどの合間を縫ってトレーニングに励んでいる。「ハワイ(優勝旅行)から帰ってきてずっとだから、もう体はできている」と自信たっぷりに言い切った。2008年も、ミスター・ドラゴンズの勢いは止まりそうにない。 (安藤友美 中日スポーツ)
31 . December
 たしか7時半ころだったと記憶する。キャンプ地・沖縄の朝は早い。記者は恩納村の選手宿舎に向かうレンタカーの助手席にいた。2月22日。時間はおぼろげなのに、日付が特定できるのは、その日が特別な1日だったからだ。

 福留孝介と球団との話し合いが、ようやく決着した。その9カ月後にフリーエージェント(FA)宣言し、さらに1カ月後にはシカゴ・カブスに移籍することになる男。結果的にはドラゴンズとの最後の契約がまとまった日ということになる。公式には2度目の交渉。だが、記者は知っていた。名古屋で4度、沖縄で3度のいわゆる下交渉があった。つまり9度目の交渉。これにて自費キャンプも終了した。

 年を越す前に書いておきたかったのは、福留の話ではない。立浪和義のことである。話を戻して2月22日のおそらく7時半。記者の携帯電話が震えた。画面の名を見て、ドキッ。実は彼は目の肥えた読者である。口調はあくまでも柔らかく、それでいて手厳しいおしかりや、鋭い指摘をしてくれる。記事を深く読んでくれるのはありがたいが、的を射ているだけに耳には痛い。沖縄での彼は毎朝、チームよりもはるかに早く球場に向かい、トレーニングに励んでいた。その車中からの電話であるのは間違いない。

 「おはようございます。立浪です」。で始まった“モーニングコール”。だけど、内容はおしかりでも指摘でもなかった。以下、記憶に残っている範囲での再録。

 「きょう、孝介がサインします。そこでお願いがあるんです。孝介のイメージが悪くならんように、書いたってほしいんです。これから野球に集中していくのに、世の中に悪く思われんようにしてやりたいんです…」

 交渉がまとまった。その情報をほんの少し早く知ることができた。いや、そんなちっちゃい話ではない。これだけ年俸闘争が長引けば、日本のファン気質は「粘り強い」より「しつこい」と見なす。もちろん同じ選手の立場だから福留が評価にこだわるのはわかる。だが、世間には必ずしもその真意は伝わらない。福留の“孤立”をおそれた立浪のフォロー。

 球団は組織だが、選手は1人。一般企業のような団体交渉はない。だから『徹底抗戦』したときの負のイメージも、個人に背負わされてしまう。ウソを書けとも事実を曲げろとも言わなかった。ならばと記者は申し出を受けた。立浪の心意気を受け取ったのだ。あれから10カ月。沖縄の朝、電話でのやりとりが今も耳の奥に残っている。
(渋谷真 中日スポーツ)
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