日本一へと続く夢の懸け橋が頭上に浮かんだ。虹色に輝くレインボーブリッジ。心臓破りの急坂で、落合竜が頭ひとつ抜きんでた。待望の優勝マジック「7」。球団史上初のリーグ連覇が見えた。25日の巨人戦で、オレ竜軍団が泥臭さ全開で首位奪取だ。
絶妙なコラボが風を運んだ。初回、無死一塁。井端が走った。荒木は右目でスタートと内野の動きをとらえ、無人の三遊間へ打球を動かした。一、三塁。三振と四球を挟んで森野が右前に先制の2点適時打。1、2番の呼吸が激しい波を生んだ。
派手さ、豪快さとは対極を描く落合野球。堅実さと地味な色に加え、高校野球さながらの一球入魂の精神が白星に直結した。五回、二死一塁からウッズが来日初のヘッドスライディングで二盗。七回には、二死三塁から、井端が二塁内野安打で頭から滑り込んだ。
「大事な落とせない試合だから、勝手に自然と出ちゃいました」と井端。慢性化した右肩痛。試合前には痛み止めの注射を打つ。激闘を終えた夜には、ベッドでのた打ち回るほどの激痛が走る。井端の勝利を欲したプレーが、巨人の反撃を封じた。
落合監督はウソをついた。「オレは何にもしてないよ。選手が自然に去年までの戦い方を思い出したんだろ。マジック?あってないようなもんだ。ついたり消えたりするから、マジックって言うんだ」。天王山の大事な初戦。指示通りに動いた兵の力を持ち上げた心憎さ。もぎ取った1勝の重みを物語る。
今季11度目の奪首。視界の先に真っ白なゴールテープが揺れている。まだ、おぼろげに映る光景をもう、消しはしない。残り9試合。一気に駆け上がる。
(デイリースポーツ)
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